父の書斎♪

父の書斎を思い出すと、まず脳裏によみがえるのが、大柄の父の身体をも、すっぽりと包み込む大きな椅子。
ダークブルーのビロード張りの、まぁるい回転椅子でした。

若かりし頃、街の家具屋さんでひとめ惚れ。
貯金をはたいて買った、舶来物の椅子らしい。

いつの頃からか、回転させるたびにキイキイと音を立てるようになり。

「そろそろ買い替えましょうよ」との母の言葉も、

「この椅子は、社会人になって初めての大きな買い物。
思い出の椅子だから、壊れるまで使う。」と、ガンとして聞き入れなかったなぁ。

そう・・・父は、モノを大切にする人。


父の書斎には、それはそれは沢山の書籍があります。
父のきっちりした性格は、本棚を見ればわかります。

子供の頃、父の書斎に、こっそり忍び込んでは、キレイに並べられた本を、ぐるりと見渡すのが好きでした。

書斎の本のほとんどは、専門書ですから、幼い私には、タイトルすら、難解難読なものばかり。

「どうしてパパは、女の子の名前がついたご本ばかり読むんだろう?」

高分子、素粒子、原子、量子、電子・・・

この疑問をそのまま父にぶつけたことがあります。

答えは・・・
「だからオマエは、バカなんだっ!!」



今の職場で仕事をするようになり、ある時、バザーを開催することになりました。

「パパも手持ちの本を出品しない? 物理化学系の学生が喜ぶわ!」

そんな私のオファーも、迷うことなく、父は一蹴。

「僕が生きているうちは、僕の本は誰にも売らないし、渡さない。
書斎にある本1冊1冊には、それぞれに大切な想い出があって。
一生懸命、汗水垂らして働いたお金で、コツコツ買い揃えた本ばかりなんだ。
1冊1冊が宝物なんだから、売るなんて、とんでもない。
処分するなら、僕が死んでからにしてくれよ。」 


ああ、やっぱり、父はモノを大切にする人。

というか、きっと、いい加減な気持でモノや本を買わないんだろうな。
父の人生の辞書に「衝動買い」という言葉はないのかもしれない。(笑)


そういえば、お正月に帰省した際、父がぼやいていましたっけ。

「最近、電車に乗ってみると10人中9人は、携帯をいじっている。
本を読む人間がほとんどいない。嘆かわしい世の中だ。」

”本を読むと、集中力が生まれる、表現力が磨かれる。
想像力の引き出しが増える、何より、脳細胞が活性化する。”・・・というのが父の持論。
 
ボケたくない(?)父は、もうすぐ88歳になりますが、今でも毎日の読書、新聞の熟読を
欠かしません。

そして、新書が出れば、必ず、本屋へ足を運びます。
真新しい本の、あの紙とインクの匂い好き・・・と父は言います。

本を手に取り、じっくりじっくり吟味して。
自分にとって最高の1冊を選んでくるのです。


自分もいい大人になり、そんな父に、尊敬の念すら覚えるこの頃。

自分にとって、「本当に必要なモノ」だけに囲まれる生活。
歳を重ねるごとに、物質的にも精神的にも「断捨離」したくなるのには、
やはり意味があるんだなぁ。


父の書斎。
大人になって、改めて見渡した時、父の「生き様」が見えた気がしました。

そして・・・
これからは、父のように、丁寧に生きていこう!!とも思えました。




本の話が出たところで。

鮎川哲也賞を受賞した親友の本が、昨年末、ついに出版されました。


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読み終わって、改めて、彼女に脱帽。
人生経験豊かな彼女だから書ける小説。

次に逢う時は、ちょっと、緊張してしまいそう。(笑)

なんだか、とっても遠い存在になっちゃった。


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